カチコチ通信おんらいん 20221209 建物状況調査
子供の頃、おもちが飲み込むときがわからなくてお汁粉とかが好きでなかった奧村隆充です。
不動産会社は、中古住宅など不動産の媒介契約をお客様と結ぶときに、重要事項説明書のなかで建物状況調査の説明と調査を実施をするかどうか確認して記入することが義務付けられています。
目次
土地の流通と比べ既存住宅はあまり積極的に流通していなかった
日本では建物より土地の価値の方が高いという時代が続き、建物はおそらく木造で壊れやすく、崩れやすいイメージがあるためか、何世代にわたって同じ建物を使うという文化が少なかったのかと思います。
しかし建物は財産を投じて作られた財産。
その財産が時間とともに崩壊していくというのはおかしなこと。
不動産を買うというのは投資行為ということを以前言ったかようにおもいますが、投資したものが時間とともに減ずるというのは投資としてあまりにも失敗になると思います。
日本ではやっと40% 海外での既存住宅の流通の比率は全体の80%近くある
日本での既存建物の流通数と新築住宅の建築数を比べると、かなり既存住宅の流通が増えた2019年のデータだと40%。一方海外では、80%を超えているところが多くあります。
既存住宅の流通が80%を超えているのには、おそらく流通の仕組みに後押しがあるからかと想像します。
既存住宅に関するデータの多さ、建物内部の現状の調査データ、新築されてから現在までのメンテナンス履歴、それらのデータについての保証、登記情報などデータが間違っていた時の保険、契約書をかならず法律の専門家が作成していること、金融機関の不動産に対する情報の蓄積。
日本にはかつてはなかった建物の情報量と保証があるため、物件の価格と性能が比例しており、リスクを把握して購買できるというところが既存住宅の流通をスムーズにしているのではないかと思います。
なので、建物状況調査、調査会社を発足させ、売買の時の価格を含む条件に組み入れ、既存建物の流通を促進しようという試みだと思います。
日本の既存建物の売買でも建物の情報を増やして流通させる政策ができた
そのため、売買の重要事項説明書により、調査制度を説明させることを義務付けて、調査を普及ようとさせようということとなっています。
調査するにはお金がかかります。
重要事項説明書に添付する建物状況調査報告は目視、計測等による調査で、床や壁をはがして調査することまでは求められていません。足場を組まずに移動できる範囲に限られ、一戸建てでは小屋裏や床下の点検口から目視できる範囲などとしています。
なので、壁の中、床の中、天井裏、足場を組んでの壁の調査、屋根の調査、シロアリの調査はここでは義務付けられてはいませんが、これらを実施することは当然可能ですし、調査会社はそこまで調査して、一定期間の保証を付けてくれるサービスもあります。
建物状況調査の費用は売主が負担する場合もありますし、買い主が負担する場合もあります。
建物状況調査を広く知らしめる
状況調査するタイミングは、売買契約をする前なので、売主が実施するのは簡単なのですが、調査の先に保証がほしい場合は、買い主が保証をもらうために買主が依頼する方が自然かと思います。
検査会社の営業さんに聞いてみると、実際は、保証付きにするための調査を買主側から依頼することがほとんどのようです。
実施するには居住中の場合は売主さんに立ち会ってもらいます。もしも、点検口がない場合で床下へどこからももぐることができない場合は所有者に許可を得て床に点検口を付けることが必要です。
この制度で少しイチかバチかの既存住宅の売買のリスクが下がりました。
ほんの少し既存住宅の活用がされ始めているようです。
解体費用も値上げされた。既存住宅の利活用は財布にもやさしい
ただ、建物を知り尽くした人の宝探しのようなことはできなくなったのかもしれません。
リフォーム可能かどうかの判定はなかなか見ただけではわからないので、そのあたりにノウハウがある人は価値の高い既存建物をお値打ちに買うようなこともあったようです。
既存建物はできる限り大事にし、また新築するときも長く使える飽きの来ない誰にとっても使いやすい価値の高い不動産を作るような文化を作っていけるととよいです。