2023.02.10 人の死についての告知について

2月のカレンダー
2月のカレンダー

子供のころ、夕方が怖かった奧村隆充です。

人の死の告知

宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドラインが令和3年10月に国土交通省より公表されました。

ながらく、不動産業者の判断に任されていて、常に訴訟リスクをはらんだ事項が国によって方針を示されました。

不動産業者は、契約するかどうかの判断に重要な影響を及ぼす事項について、もしも知っていれば知っていることを当事者に告げなければなりません。

ジレンマ

借主もしくは買主にとって対象不動産で、人が死んだ事実があったら知りたい事だと思います。

そもそも、亡くなった原因が殺人だったり自殺だったりした場合、知ったら感覚的に気持ち悪くて取引を止めるかもしれません。

また、売買の場合は買った後売却したらいくらなのかを考えれば、死亡の事実があると、その事実がない物件と比べて値段が下がるかもしれず、つまり金銭的に価値が下がるということも考えられます。

非常に重要な事項です。

なので知らせることは当然です。

自然死に告知義務はなくなったが

しかし、犯罪性がない死の場合はどうでしょう。

自然死、事故死、風呂でおぼれた、突然苦しんで死んだなど。

そういった場合、貸主もしくは貸主から考えると、人として生きている以上、事故や病気で亡くなることはないとは言えない特別なことでないことなので、とりわけお知らせする必要がないと考えるかと思います。

しかし借主買主は知りたい

しかし、一定数の人はどんな理由であれ、自分が住む前の方が対象不動産で死亡した場合、所有する不動産の賃料を下げなければならなかったり、価格を下げなくてはならなかったり、契約できなくなったりという事項ですので、できれば知られたくない事項といえます。

不動産業者は不動産に関する取引の媒介をするものであり、人の死についての情報を隠すことで起こるトラブルへのリスクを考えると、事件にかかわっていない場合でも、積極的に知らせていきたい立場です。

隠しておいて一時的に手数料が入ったとしても、後で知らせなかったことが分かった時に失う信用と金銭的損失を考えると得なことはありません。

媒介業者としては、借主と貸主両方の利益を守らなければなりません。なので法律で強制されていない事項を告知することによって生じる損失についても責任を追及される可能性があります、ここにジレンマがあります。

ルール化された内容

それが一応ルール化されました。

自然死については一定期間を経た場合は告知しなくてもよいとなりました。

少しやりやすくなるかと期待しましたが、最終的に国土交通省が日和ました。

このガイドラインの使い方による責任は不動産業者にあると最後に付け加えてしまいました。

なので先ほど言った借主から訴えられるリスクと貸主から訴えられるリスクが以前よりも増してしまったように思います。

責任が重くなったように思います。

運用については売主もしくは貸主に告知事項について聞き取りをしてできる限り訴えられない範囲で開示したいというのが弊社のスタンスです。

頑張ります。

不動産に関する相談をおまちしています

ご相談はメールでも受け付けています

ご相談は無料です。不動産相続関係のセミナーを5月、8月、11月、2月に仲間とやっています。